日頃より当協会では、Baby-led Weaningを提唱したGill Rapley, Tracy Murkett 両氏による2019年の訪日ワークショップや、両氏の出版物翻訳本である「自分で食べる!」が食べる力を育てる〜赤ちゃん主導の離乳(BLW)入門〜(原書房2019)(以下、本書とする)において示されているBLWの概念を基本として情報発信させて頂いております。

令和2年5月5日に医学情報社から出版された表題の書籍の中で、「“BLW”の危険性」というコラム(以下、該当コラムとする)が紹介されましたが、内容が本書で解説されているBLWの実際とは異なる表記がされております。よって読者がBLWに対して誤った認識をする可能性があると考え、ここに当協会の見解をお示し致します。

具体的には、まず該当コラム上の「生後6か月から開始とされています」という表記については、本書では開始月齢を限定するような解説をしておりません。

また「好き嫌いがなくなるとか、頭が良くなる」「頭が良くなる」「窒息の危険性が大きく、」といったBLWのメリット・デメリットについての表記も事実と異なります。これまでBLWに対する様々な研究が行われていますが、このような表記を裏付けるような質の高い研究結果は示されていません。本書の中でも断定的な記載はございません。

特に窒息リスクについては専門家から懸念される点です。これまで行われたBLWと窒息リスクについての研究結果によると、ペーストをスプーンで食べさせる従来法よりも明らかにBLWの方が窒息しやすいとする臨床研究はありません。他に、従来法と比較して窒息の発生率は「変わらなかった」という研究や、窒息がより高頻度に起こったのが最も高頻度に起こったのは、フィンガーフードを経験していなかった従来法の群であったという研究が出されています。いずれも窒息対応の情報量に差があった可能性や、諸外国間で窒息頻度に差があること、また窒息対応の学習機会に差があることなどが、研究デザインの問題点として挙げられます。

前述のように、現時点ではBLWと窒息リスクを強く関連づける研究結果は出されていないものの、乳幼児はどのような食事方法であっても食品によって窒息を起こす可能性があること、国内では諸外国と比べ養育者が子どもの窒息対応を学ぶ機会が少ないという現状を踏まえ、当協会では養育者や支援者に乳幼児の心肺蘇生法や窒息対応の講習を受講するよう強く勧めております。また協会ホームページのリーフレットやセミナーをなど通して情報提供を行うなど、積極的な啓蒙活動を行なっております。

BLWが徐々に注目を浴び実践者も増加する中で、不特定多数の支援者がBLWについて情報提供や指導を行うことが散見されるようになりました。いかなる内容であっても、母子保健に関する支援には「情報の質と安全性」が求められます。今後も私たちは、実践者や支援者の方々がBLWについて正しい学びを深められるよう活動を続けて参ります。